精神と物質のあいだ

哲学系ブログ。あたりまえの中にあるあたりまえじゃなさについて書いています。

ガンで死ぬことは悪いことなのか?

こんにちは。ナナコです。

とあるご高齢の方がガンで、確率が低いけれども完治する手術をするか、手術せずに延命治療をするか悩んでいる……という話を聞きました。

 

ガンが治れば、不死身になるのか??
いずれ死ぬのだから、どっちも延命治療です。「どうしたらいいか」ではなく、好みで選んでいい問題だと思うのです。

上記の悩み方を考えるに、
健康な状態で老衰で死ぬこと=天寿を全うすること
という認識の方なのでしょう。
裏を返すと、それ以外は天寿を全うしたことにならない。つまり、良いことではない、という認識……そして、こういう感覚の方は、とても多いと思います。

ガンのせいで寿命が縮まった?
「平均寿命」という概念があるせいで見えにくくなっているのですが、その平均化の基、個々の寿命はみんなそれぞれ違います。死因も個々様々。その考えてる自分の寿命というもの、実は全く確実性がありません。

確かに、体を傷つけると治す動きをするから、健康でいる努力をすることも、自然なことだとは思います。でも、その努力は、実ったり実らなかったりする。
「もしあの時ああしていれば、ガンにならずに済んだかもしれないのに……」
よくある嘆きですが、でも、それはどこまでも仮定の話、空想でしかありません。

どんな死も、死ぬ時が来たから起こること。死因は単なる機会(道具)。本当は天寿以外ない、と言えるでしょう。

聖バガヴァットは告げた。――
私は世界を滅亡させる強大なるカーラ(時間)である。諸世界を回収する(帰滅させる)ために、ここに活動を開始した。たといあなたがいないでも、敵軍にいるすべての戦士たちは生存しないであろう。
それ故、立ち上れ。名声を得よ。敵を征服して、繁栄する王国を享受せよ。彼らはまさに私によって、前もって殺されているのだ。あなたは単なる機会(道具)となれ。アルジュナ

 

バガヴァッド・ギーター (岩波文庫)

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